「便秘は体質のせい」と、あきらめていませんか?
クライアントさんでも「子どもの頃から便秘だから……」「50年間、毎日便秘薬を飲んでいる」という方もいらっしゃいました。
しかし、とくに病気が隠れていない場合は、毎日の生活習慣を見直すことで改善が期待できるもの。まずは原因を知り、自分に合った対策を見つけていきましょう。
この記事では、自律神経専門パーソナルトレーナーとして活動している加藤 小百合が、便秘と自律神経の関係や薬に頼らず自分で整えるセルフケアを紹介します。
目次
そもそも便秘とは?
「毎日お通じがない」と悩んでいませんか? でも、お通じのペースは人それぞれです。
毎朝スッキリ出たら気持ちいいと思いますが、たとえ3日に1回だとしてもスムーズに排便できてスッキリ感があれば大丈夫!
逆に毎日出ていても残便感でスッキリしなかったり、便が硬かったり、お腹の張りや不快感で食欲がなくなったりするなら便秘といえるでしょう。
医学の父といわれる古代ギリシャの医師、ヒポクラテスは“すべての病気は腸から始まる”という格言を残しています。腸は免疫やホルモン、心の健康にも深く関わっており、腸が乱れるとさまざまな病気につながるので放置しないようにしましょう。
なぜ便秘になるのか?
❶緊張やストレス
意外に思われるかもしれませんが、お母さんのお腹の中で赤ちゃんに最初につくられる臓器は、脳でも心臓でもなく「腸」です。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経と深く関わっているもの。お通じを促す腸のぜんどう運動(腸が便を送り出す動き)は、リラックスをつかさどる「副交感神経」が優位なときに活発になります。
反対に、緊張やストレスで交感神経が優位になると、便秘や下痢を引き起こします。つまり、便秘は体質だけでなく心の状態とも深くつながっているのです。
やっかいなのは、その逆も起きることです。便秘によるお腹の不快感や不安、それ自体がストレスとなりさらに自律神経を乱してしまう。こうした悪循環から、薬を飲むしかないと諦めている方も少なくありません。
❷便を出す力が弱っている
便秘の原因のひとつが、大腸の便を押し出す力が弱っていること。運動不足で筋肉が衰えると便を押し出す力が弱まるだけでなく、内臓の血流も悪くなります。
高齢の方では、出にくい便をいきんで押し出そうとするとき、排便から30分後まで血圧が上がった状態が続くという報告もあります。便秘は、思っている以上に体へ負担をかけているのです。
❸便意の我慢をくり返す
「トイレに行きたい」と感じたときに便意を我慢してしまうと、便意をもよおすセンサーが鈍くなってしまいます。便が直腸に送られてくると脳に指令がいって便意をもよおしますが、「朝は時間がないから」「今、忙しいから」と便意の我慢をくり返すと直腸の反応が鈍くなって便意を感じにくくなってしまうことも!

❹食事や水分が足りていない
健康な人の便の約80%は水分で、残り20%のうち1/3が食べたもののカス、1/3が生きた腸内細菌、残りの1/3が腸粘膜の剥がれ落ちたものでできています。
よく「腸内環境を良くしましょう」といわれますが、食べものや水分、腸内細菌がカギを握っています。だからといって水をがぶがぶ飲めばよいわけでも、食物繊維や発酵食品を摂ればよいというわけでもありません。テレビやCMなどで見たり聞いたりした便秘対策で、逆にお腹が張ってしまって便秘を悪化させてしまうことも……。
便秘を改善する食事とは?
まずこの3つを見直す
腸活というと「食物繊維や発酵食品を摂りましょう」という情報が蔓延っています。しかし、胃腸の状態が悪いと、せっかく体によいものを食べても消化・吸収できなければ意味がありません。人によっては野菜の食べ過ぎで便秘を悪化させている方もいます。
多くの人にとっては、「何を食べるか」よりも「何を減らすか」が大切。そのなかでも特に気をつけたいものは次の3つです。
❶加工食品に使われる保存料などの食品添加物は、細菌の増殖を止めるとても便利なものですが、その働きは腸内細菌にも及びます。抗生剤や抗菌薬も同じです。
❷砂糖は血糖値を大きく変動させ、自律神経を揺さぶります。人工甘味料も腸内フローラを乱します。腸活のため、と思って飲んでいる乳酸菌飲料やヨーグルトに含まれている糖類、本当に必要でしょうか?
❸筋弛緩薬や抗うつ薬、抗不安薬などの副作用に「便秘」が入っているものもあります。お薬を服用する場合は添付文書をよく読み、医師や薬剤師に相談してください。
便秘予防におすすめの食材
加工食品や砂糖には中毒性があるので、なかなかやめられないと思います。そんな方は、まず次の3つを意識して摂ってみてはいかがでしょうか? 自然に砂糖や加工食品を減らすことにつながります。
❶お米:「ごはんは太るから」「糖質制限をしていて……」とごはんが足りていない方がいらっしゃいます。実はごはんには水分も多く含まれているため、ごはんを減らすと水分量も減ってしまい、便秘の原因になりやすくなります。
雑穀(とくに大麦やもち麦などは食物繊維がお通じを促してくれる)を混ぜて炊くのもおすすめ。ただし、合わない場合もあるため少しずつ食べてみて変化があるかどうか、しばらくチェックしましょう。
❷里芋やさつまいもなどのいも類:里芋のぬめりは水に溶ける食物繊維として働いてくれて、便をやわらかくしながら腸の粘膜を守ってくれます。ただし、食べ過ぎると逆効果になる場合もあるため、食べ過ぎないように気をつけましょう。
❸わかめ・ひじきなどの海藻類:食物繊維に加えて、マグネシウムも豊富。便秘薬に使われる酸化マグネシウムと同じ「水を腸に引き込む」働きを、食べもので取り入れられます。
夏から秋にかけておすすめなのは「桃」です。腸に水分を呼び込み、お通じをやわらかく整えてくれます。桃は汗をかきすぎて消耗している方、夏バテ気味の方におすすめ。腸だけでなく、喉の渇きを潤す効果も! 甘いものを我慢するのではなく、果物で満たしてみてはいかがでしょうか?
ストレスからくる便秘には、柑橘類や香りの強い野菜もおすすめ。気持ちをゆるめる香りが、自律神経を整える手助けになります。
排泄力アップのコツ
歩くだけでも腸は動く
適度な運動はストレス解消になり、副交感神経を活発にして腸の働きをよくしてくれるもの。まずは1日の歩数を、少しだけ意識してみてください。歩くこと自体が、足裏のツボ刺激にもなります。ウォーキングのような軽い運動を、無理のない範囲で続けていきましょう。
お腹を意識して呼吸する
歩くのが難しい方は、お腹に触れて呼吸で少し強めに「吐く」練習もおすすめ。お腹に力が入り、便を押し出す感覚がつかみやすくなります。心身ともに緊張の強い方は、軽いストレッチから始めてみましょう。呼吸を意識することを忘れずに!
お腹まわりを冷やさない
冷えは、便秘の大敵。シャワーだけで済ませず、40度前後の湯船に15分ほど浸かると、腸が温まって血流がよくなります。
しめつける下着も、血流やリンパの流れをさまたげる原因に。腹巻きやレッグウォーマー、湯たんぽなども活用してお腹と下半身を温めてあげましょう。
砂糖、ジュース、辛いもの、生もの、体温より冷たいものも冷えにつながるため、少しずつ減らしてみてください。
足裏を刺激する
軽い便秘であれば、足裏の反射区をを刺激するだけでスッキリする方もいらっしゃいます。
手の指やマッサージ棒で刺激してみてください。指で刺激するときは指の力ではなく、体重をかけておこないましょう。

セルフケアでよくならないときは?
「何をやってもよくならない」という方は、精神的なストレスが背景にあることも少なくありません。私とお話しただけで便秘を解消された方もいらっしゃいました。セルフケアだけで変化を感じにくい方は、体質そのものを見直すレッスンもあります。
心のうんちも出す
悩みやイライラ、考え事があるときは、紙に書き出してみましょう。書き終わったら「今日はこれでおしまい」と口に出して、ノートを引き出しにしまうだけ。
お腹が張っていたら食事が入らないのと同じで、心もいっぱいだと新しいものは入ってきません。心のうんちを先に出すことが、体の巡りにもつながっていくのです。
寝る前に感謝する
お通じをよくするには、睡眠の質を高めることも大切です。一日の終わりに、感謝できることを3つ書き出してみましょう。
うれしかったこと、たのしかったこと、何でもかまいません。なぜなら、感謝と不安は、同時には抱えられないから。思い浮かばなければ「屋根のある部屋で眠れて幸せ」と、布団の感触を味わうだけでも、心の緊張はほどけていきます。
本当に便秘に効果のあることは?
腸内環境は人それぞれですが、うんちの状態でセルフチェックできます。理想は、きれいな黄土色で、においがきつくなく、しっかりした太さのバナナ状のもの。
黒っぽく濃い色、コロコロ、カチカチ、においが強い、何度拭いても便が紙に付く、または水っぽい。そんなときは、水分や食べものを見直すサインです。ちなみに脂質が少なすぎても便秘になりがちです。極端な油抜きや糖質制限にはご注意ください。

便秘は食事や運動の見直しで整うケースも多いですが、便秘の裏に病気が隠れていることもあります。強い腹痛や出血など、いつもと違う症状があるときは、医療機関を受診してください。
まとめ:便秘とやさしく付き合う5つの習慣
- 砂糖類・加工食品・薬を見直す
- 歩いて腸を内側から動かす
- 便意を我慢しない=体の声を聴く
- お腹まわりを冷やさない
- 心の緊張をゆるめる
薬に頼らずお腹の調子を整えたい方は、レッスンでもお待ちしております!
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