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脂肪肝は「お酒を飲む人の病気」ではない
2026年9月7日は二十四節気の白露(はくろ)。秋が深まって朝方の気温も下がり、白い露が結ばれるようになる頃です。

暑かった夏が終わり、秋らしくなってきましたね。
冷蔵庫を開けてジュースを飲む。お風呂上がりにアイスを食べる。
外を歩くには暑すぎるから、今日も家で過ごす。そんな夏の習慣を続けていませんか?
先日、お客様が「肝臓の数値がよくなくて……お酒を減らします!」と仰っていました。
よくよくお話を伺ってみると、すでにお酒を減らしているのに多く飲んでいたときより肝臓の数値が上がったそうです。
脂肪肝になると減量をすすめられることも少なくありませんが、この方の体重は落ち続けています。
さらに食生活について伺うと「健康を気遣って選んでいたものが、実は逆効果だった?!」と驚かれました。
この記事では、脂肪肝のリスクを高める意外な飲みものと、脂肪肝を改善・予防する方法についてお伝えいたします。
脂肪肝とは?
脂肪肝とは、肝臓の細胞に脂肪が過剰にたまった状態です。飲酒が原因となる「アルコール性脂肪肝」と、飲酒以外が原因で引き起こされる「非アルコール性脂肪肝(NAFLD:Nonalcoholic steatohepatitis)」の2タイプに分けられます。意外に思われるかもしれませんが、今増えているのは後者のほうで「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD:Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver DiseaseMetabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)」と呼ばれるようになりました。長っ!! 簡単に説明すると、このタイプの脂肪肝は単なる肝臓の問題ではなく、肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧といった生活習慣病のリスクとも深く関係しているということです。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、脂肪肝になっても痛くも痒くもありませんが、放っておくと脂肪肝 → 炎症(脂肪肝炎) → 肝硬変 → 肝がんへと進行してしまうケースもあります。健診などで指摘された場合は、経過観察をしながら生活習慣を見直していきましょう。この記事では、主に代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)についてお伝えしますね。
日本人はやせていても脂肪肝になりやすい
「脂肪肝は太った人の病気」というイメージがあるかもしれませんが、日本人を対象にした調査で脂肪肝の約4人に1人は肥満ではない、というデータもあります。アジア人は欧米人にくらべて皮下脂肪が少なく、内臓脂肪がたまりやすい。さらに肝臓のような「本来は脂肪がつかない場所」に脂肪がたまりやすい傾向があります(異所性脂肪)。
運動をしていないと30代頃から筋肉量が少しずつ減り、新陳代謝が落ちはじめて糖質などが筋肉で消費されづらくなります。すると、過剰摂取であふれた糖が脂肪に変換されて、肝臓にたまってしまうのです。とくに40代以降の女性は要注意。女性ホルモン(エストロゲン)が減ると脂肪の代謝も落ちやすく、標準体形ややせ型でも肝臓に脂肪がたまりやすくなってしまいます。
犯人は「甘い飲みもの」
「体によさそう」それ本当?
脂肪肝の主な原因とされるのが糖質、とくに「甘い飲みもの」です。暑い時期は冷たい飲みものやアイスなどの甘いものが増えがちですよね。果糖ブドウ糖液糖が入った甘いジュースやスポーツドリンク、乳酸菌飲料など食事とは別に口にしている方が少なくありません。
清涼飲料水と脂肪肝リスクの関連は複数の研究でも報告されており、加糖飲料を毎日約250mL以上飲んでいると、MASLDのリスクが50%近く上昇することが分かっています。飲みものは太りにくいイメージがあるかもしれませんが、液体は固形物より吸収が早いため、糖質が一気に肝臓へ届き、中性脂肪に変わりやすい。
見落としやすいのが「市販の野菜ジュース」。冒頭の女性は、体によいと思って毎朝野菜ジュースを飲み、アイスをよく口にしていたそうです。野菜を食べるのと市販のジュースを飲むのでは全く違いますよね? 興味のある方はどんなふうに作られているのか調べてみてください。同じ桃でもよく噛んでいただくのと、ジュースで飲むのでは栄養も肝臓への負担も大きく変わります。
秋はぶどうや柿、桃、梨などおいしい果物が出てくる季節。果物に多い「果糖」は、肝臓で中性脂肪に変わりやすいといわれていますが、ビタミンやミネラル、食物繊維も一緒にとれます。市販のジュースや糖類の入ったドリンクがやめられない方は、旬の果物に置き換えてみてはいかがでしょうか?
たんぱく質(魚・卵・納豆や豆腐などの大豆製品・鶏肉などを中心に)も適度に摂取し、ゆっくり噛んで味わうことも肝臓をいたわることにつながります。
カロリー制限にとらわれないで!
甘いドリンクの代わりに、カロリーゼロの飲みものを選んでいませんか? 人工甘味料や添加物を分解するのは、肝臓の仕事。「解毒」に肝臓を使う分、本来の代謝が後回しになりやすいのです。海外の調査では、人工甘味料入り飲料を毎日約250mL以上飲んでいると、MASLDのリスクが60%増加することが分かっています。プロテインを飲まれている方も原材料を確認してくださいね。飲みやすくするために人工甘味料が含まれている商品が多いです。
また、「食べすぎたから、今日はごはんを抜こう」と、急いで体重を落とそうとしないでください。過度な糖質制限で減量すると、栄養不足で脂肪燃焼に欠かせない「筋肉量」も低下し、かえって脂肪肝は改善しにくくなります。
日本の約1万5000人を対象とした研究では、20歳以降に体重が10kg以上増加した人の脂肪肝の発症リスクは、そうでない人に比べて2倍以上であることが明らかになりました。誰もが減量を目指せばよいわけではありません。脂肪肝を指摘されている方は、信頼できる医師に相談しましょう。
肝臓をいたわるために
筋肉は「第二の肝臓」
肝臓は胃や腸で分解・吸収された栄養を使いやすい形に変えて貯蔵し、必要なときに分解してエネルギーを作り出してくれています。さらに、アルコールや薬、代謝の際に出た有害な物質を毒性の低い形に変えて排泄する解毒作用も!!
肝臓の働きが落ちているときは、筋肉がアンモニアの分解を肩代わりして助けることも知られています。筋肉は、糖やたんぱく質をたくわえたり、血糖値を下げたり……と、肝臓に似た働きも担ってくれるため「第二の肝臓」とも呼ばれているのです。
筋肉量が保たれていると食後に増えた糖を筋肉が受け止めてくれるため、血糖値の急な上昇が抑えられ、肝臓に余分な脂肪もたまりにくくなります。反対に筋肉が減ると消費できるエネルギーも減り、行き場のなくなった糖が肝臓へ向かい、余った分が脂肪としてたまりやすくなります。

やっかいなのは、これが悪循環になりやすいことです。筋肉が減ると脂肪肝になりやすく、肝硬変や肝がんになると通常よりも進行しやすい。脂肪肝になるとサルコペニア(加齢などによる筋肉量の減少・筋力の低下)が進みやすい、ということも分かってきました。筋肉は、ただ体を動かすためだけの組織ではなく、糖やエネルギーの代謝を支える、頼れる存在なのです。
秋は動き始めるチャンス
夏のあいだは室内で過ごす時間が増え、動く機会が減った方も多いでしょう。エアコンの効いた部屋は快適な反面、動く量が減ると筋力や基礎代謝も落ちがち。体力を少しずつ回復するために、まずは動く習慣を取り戻しましょう。
歩くだけでも筋肉が糖を使い、肝臓に脂肪がたまりにくい体づくりにつながります。朝の光を浴びながらの散歩なら、気分の落ち込みがちな季節のリズムを整える助けにもなります。「もう少し涼しくなったら」と待っているうちに、今度は「寒いから」と動かない生活が当たり前になってしまう方も……。涼しくなった秋は、ウォーキングや軽い運動をはじめる絶好のタイミングです。
脂肪肝を予防・改善する運動
脂肪肝を改善するために十分な運動量は、1週間に150分以上が望ましいとされています。とはいえ、今まで運動されてこなかった方がいきなり筋トレをはじめると挫折しやすいので、次のように無理のない範囲で動きはじめましょう。
・パソコンやスマホ、テレビを見続けたら、1時間に1回は立って室内を歩く
・エスカレーターやエレベーターをなるべく使わず、1階分でも階段を使う
・買い物するときに少しでも多く歩く(入り口から遠いところに駐車する)
動く元気のない方は、しっかり睡眠をとることも大切です。
非アルコール性脂肪肝を改善・予防するために
暑い夏を乗り切るために、冷たいものが楽しみだった方もいるでしょう。外出や運動を控える必要があった日も、たくさんあったと思います。でも、「健康のためと思ってやっていたこと」が、逆に肝臓を疲れさせているかもしれません。肝臓の脂肪は、体の中でも早く落ちやすいといわれています。まずは次の3つからはじめてみませんか?
- 甘い飲みものはカロリーゼロでも見直す
- ゆっくり味わって食べる
- 座りっぱなしの時間に一度立ち上がって歩く

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加藤 小百合
参考文献・出典










