牛乳は本当に骨を丈夫にするのか?

「牛乳の過剰摂取が骨折のリスクを高める」と言うと驚かれることが少なくありません。
 しかし、アメリカやニュージーランド、スウェーデンなどのカルシウム摂取量の多い国は、カルシウム摂取量の少ないアジアの国に比べて大腿骨骨折が多いことがわかっています。

 この記事を読むと骨折しないために必要なことと、近視やドライアイ、白内障、緑内障を予防する方法もわかります。
 視力が低下したり、視野が狭まると転倒のリスクも高まるため、目の健康も守っていきましょう!

なぜ牛乳が問題なの?

 牛乳の過剰摂取は体を酸性に傾けます。体はこれを中和しようとして、骨からカルシウムを溶かし出してしまうのです。

『乳がんと牛乳ーがん細胞はなぜ消えたのか』
の著者ジェイン・プラント(佐藤章夫 訳)の序文の一部を紹介させていただきます。

『牛乳はたしかに、急速に成長する子牛(体重が1日1㎏増える)にとって完璧な食品である。
だからといって、乳児(1㎏増えるのに1ヵ月かかる)にもよい食品ということにはならない。
離乳期を過ぎてなおミルクを飲む哺乳動物は、人間をおいてない。
成長の止まった成人が、このような成長促進物質を含む牛乳を飲んだらどうなるのか。』

牛乳はがんのリスクを高める

 がんの原因はさまざまですが、とくに乳がんは食生活の影響を指摘する専門家が少なくありません。

 乳がんが多発している欧米先進国の食生活は、脂肪の割合が40%を占めています。
 日本では乳がんは「まれな病気」でしたが、食生活が欧米化して高脂肪の食事になってから急増しているのです。

 ごはんの摂取量が減り、カタカナ主食(パン、ピザ、パスタ、シリアル、ラーメンなど)が増え、バターやチーズ、生クリームなどの乳製品や洋菓子の摂取が増えた影響も大きいでしょう。

 最大の問題は、牛乳そのものが子牛を急激に成長させる成長因子やホルモンを含む強力な「ホルモンカクテル」であるという点です。牛乳に多く含まれるIGF-1(インスリン様成長因子-1)とエストロゲン(性ホルモン)が、乳がん細胞を分裂増殖させる可能性があり、搾乳量を上げるために乳牛に投与されるホルモン剤の影響も懸念されています。

 乳がんだけでなく卵巣がんや前立腺がんなど、ほかのがんとの関連も指摘されているのです。

カルシウムは牛乳や乳製品以外で摂れる

 一般的にカルシウム=牛乳というイメージがありますが「カルシウムが強い骨を作る」のではありません。

 骨は骨形成(骨を新たに作る働き)と、骨吸収(すでに存在している骨を壊す働き)によって常に作りかえられており、強い骨を作るには、カルシウムだけでなくほかのミネラルも同時に摂ることが必要です。
 とくにマグネシウムは骨の材料になるだけでなく、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。

 マグネシウムはカルシウムに対して1/2の量を摂るのが理想といわれています。しかし、牛乳にはマグネシウムがカルシウムの1/10くらいしか含まれていません。

「マグネシウム」は日本人に不足しているため、牛乳でカルシウムを摂ることはリスクが高いのです。
 カルシウムは次のような食品にも含まれています。

・ごま
・豆製品
・小魚・煮干し
・海藻類(昆布、わかめ、ひじきなど)
・緑黄色野菜・大根の葉・小松菜・チンゲン菜・切干大根
・乾燥イチジクやデーツ など

マグネシウムを摂ればいいのか?

 次のような症状のある方は、マグネシウム不足の可能性が高いです。

・片頭痛
・疲れやすい
・まぶたの痙攣
・こむら返りなど筋肉がつる
・不眠、熟睡できない
・うつ症状や不安症
・イライラ、精神的に不安定
・チョコレートを食べたくなる

 牛乳に含まれるリンとタンパク質は血液を酸性に傾け、カルシウムを失わせます。しかし、マグネシウムは、血液が過度にアルカリ、あるいは酸性に傾くのを防ぐ働きもあるのです。

 また、マグネシウムが不足すると骨密度低下、骨粗鬆症、脳梗塞、脳卒中、狭心症、高血圧、不整脈、心筋梗塞、糖尿病になりやすくなります。網膜の健康維持にも寄与し、緑内障のリスク低下に関連があるとされています。

 マグネシウムが豊富な食品は、海藻類(海苔・わかめ・ひじき・昆布)、米ぬか、雑穀、くるみ、カカオ、大豆(豆腐・納豆)、小豆、干しエビ、ごま、野菜、魚、牡蠣、芋、しいたけ、蕎麦、とうもろこし、バナナ、イチジクなどです。

 ただし、マグネシウムを摂取すればよいわけではありません。亜鉛やマンガン、ホウ素、ビタミンB6やC、Kなどが酵素として骨を作る働きをするため、さまざまな食品を摂る必要があります。
 また、体内のマグネシウムを減少させる要因を減らさないと、穴の開いたバケツに水を入れているような状態になってしまいます。

 牛乳や乳製品、コンビニ食、インスタント食品、ファストフードなどは、リンを多量摂取することになり、カルシウムの吸収を妨げてしまうのです。

 牛乳・乳製品以外にも砂糖などの甘いものや精製食品、加工品に含まれる食品添加物、カフェイン、アルコール、喫煙、ストレス、有害金属もマグネシウムを消耗させます。

骨粗鬆症の薬は飲むべき?

「骨密度が低いから薬を飲むようにすすめられました」と仰る方も少なくありません。しかし、薬にも注意が必要です。

ちょっとここで問題です。

Q:骨粗鬆症の新薬の治験が行われ、次のような結果が出てきました。
あなたは次の3つのうち、どの効果がいちばん高いと考えますか?

❶100人に1人は骨折を免れる。
❷骨折するリスクが2%から1%になる(リスクが1%減る)。
❸骨折するリスクが50%減る。

A:実はこの文章、すべて同じことを言っています。

実験結果は「この薬を飲まなかった100人のうち、骨折したのは2人だった。飲んだ100人のうち骨折したのは1人だった」
「骨折するリスクが50%減る」などと言われると、その薬を飲めば全世界で骨折するお年寄りが半減するかのように思えてしまう不思議。

❸の文章は、フォサマックという骨粗鬆症治療薬の承認の際に実際に示された治験データです。
ねつ造ではないにしろ、実に巧妙な数字のトリックがまかり通ってしまう恐ろしさ。

その添付文書には
大腿骨転子下、近位大腿骨骨幹部、近位尺骨骨幹部等の非定型骨折
や「顎骨壊死・顎骨骨髄炎」といったさまざまな副作用がズラッと明記されています。

 薬品名が違うからといって油断してはいけません。必ず添付文書を読みましょう。

 実は、薬が体内に入った時にどんな化学反応が起こるかは、誰にもわかりません。
 処方した医師にも、薬の専門家である薬剤師にも

 さらには薬の組み合わせによっても起こる化学反応が変わります。これに至ってはまったくの未知数です。
(参考『薬が病気をつくる ~薬に頼らずに健康で長生きする方法』宇田川久美子著)

 長期のステロイド薬の服用、とくに向精神薬や降圧作用のある薬、および多剤併用(4種類以上の薬剤を服用)は避けたいところ。つまり、全身の健康が大切なのです。

牛乳・乳製品は貧血や白内障を引き起こすこともある

 日本人やアジア人の約8割が「乳糖不耐症」であるといわれています。

 牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素「ラクターゼ」をもっていないため、牛乳を飲むとお腹が張ったり、ゴロゴロ鳴ったり、下痢をしたりするのです。乳糖(ラクトース)を分解できなければ、たんぱく質やカルシウムも吸収できなくなります。

 今までの生徒さんで骨粗鬆症を恐れて「嫌いなのに牛乳を飲んでいます」という方もいらっしゃいました。
「毎日下痢している」という方に牛乳を摂らないようにおすすめしたら、下痢が治った方もいらっしゃいます。

 牛乳による多量のカルシウム摂取により、マグネシウムが不足することで鉄や亜鉛、マンガンの吸収が阻害され貧血になることもあるのです。
 実は私も牛乳を飲んでいたころ貧血でした。牛乳依存症で、ほぼ毎日牛乳を飲んでいたのです。チーズも大好きでよく食べていて、恥ずかしながら酪農家に嫁に行きたいと思っていたほど……。

 さらに乳糖中のガラクトースが分解できないことで、それが目の水晶体に溜まって白内障の発症に関係するという説もあります。ヨーグルトの過剰摂取は、白内障のリスクを高めるともいわれているのです。

運動は骨も目もよくする

 大事なのは骨密度を上げることではありません。
・骨折を防ぐために転ばないような体をつくること
・転んでも受け身をとれる身体能力をつけておくこと

ではないでしょうか?

 骨折は、骨の強度や質が低下し、転んだときなどに起こります。しかし、日常生活の何気ない動作で骨折していて気づかなかったという高齢者もいらっしゃいます。とくに女性は閉経を迎えると急激に骨が減少するため、注意が必要です。

 骨密度の維持や転倒予防のためには、自転車や水泳よりもウォーキングや片足立ちがおすすめ

 適度な運動は眼圧を下げ、緑内障のリスクを低減する可能性もあります。
 全身の血液循環を改善し涙の分泌も促すため、ドライアイにも有効です。

 カルシウムの吸収に必要なビタミンDは、日光により皮膚でつくられます。
 適度な日光浴は、骨を強くするだけでなく近視の進行を遅らせます
 また、メラトニンの分泌リズムを整え、睡眠の質を向上させることで間接的に目の健康にもつながるのです。

 牛乳や乳製品が骨を強くするのではありません。あくまでも嗜好品です。
 骨折から身を守るには食事も大切ですが、屋外で適度に体を動かし、視力を維持し、視野を保つことも大切ではないでしょうか?
 
 眼精疲労を改善したい方はこちらの記事も参考になさってみてください。
 個人によって最適なアプローチは異なるため、気になる症状のある方はご相談ください。

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