ヒートショックを防ぐ 冬の入浴術

2025年12月7日は二十四節気の大雪(たいせつ)。
地域によりますが、本格的に雪が降る季節で、熊が冬眠を始めるのもこの頃です。

次の節気は冬至で、1年のうちでもっとも夜の時間が長くなります。
地域によって異なりますが、東京ではお昼の長さが夏と冬で5時間弱も違うのです!


冬の語源は振ゆ・震ゆ・殖ゆ・孚ゆ→「こもること」。
睡眠時間をしっかり確保することは自律神経を整え、この時期に多発するヒートショックから命を守ることにもつながります。
この記事では、ヒートショックから自分と家族を守る具体的な方法をお伝えします。

冬に多い溺水・溺死の原因「ヒートショック」とは?

「溺れる」というと、夏のプールや海を想像しませんか? 実は溺水・溺死事故の多くは冬に起こっています。特に気温が下がり始める11月頃から、入浴中のヒートショックによる事故が急増し始めるのです。厚生労働省の統計によると、高齢者の不慮の溺死・溺水による死亡者数は、交通事故による死亡者数の約3倍で、多くが入浴中に起きています。

ヒートショックとは、急激な温度変化にさらされることで血圧が大きく乱高下し、心臓や血管に大きな負担がかかることです。冬場、暖かい室内から寒い脱衣所へ行き、さらに熱い湯船に入る入浴中に起こりやすくなります。

高齢者と高血圧の人は要注意

ヒートショックのリスクが高いのは、高齢者や持病のある人です。年齢とともに血管の弾力が弱くなり、急激な温度変化に対応する血圧の調整機能(自律神経の働き)が鈍くなります。寒い場所で血管が収縮すると心筋梗塞や脳卒中を引き起こしたり、意識を失わせたりして、浴槽内で溺れてしまうケースも少なくありません。また、感覚も鈍くなりがちで、体調の異変に気づきにくいこともリスクを高めます。

・体が重だるい
・体に力が入らない(脱力感)
・強い頭痛がある
・めまいや吐き気がある
・息苦しい
・胸が痛い・重苦しい
・脈がとぶ・心拍が乱れている
などの不調を感じる場合は、入浴を控えましょう。

若くても油断できないヒートショック

北海道のような寒い地域は家の断熱・暖房がしっかりしているため、暖かい地域で断熱されていない住宅ほどリスクが高くなります。暖かい部屋から急に寒い脱衣所へ移動することが、血圧を急上昇させる(山型ヒートショック)大きな原因です。

また、スマホを見ながら湯船に浸かっていたらのぼせてしまった経験はありませんか? 長風呂は体温がじわじわ上がり、のぼせや脱水を引き起こしやすくなります。脱水になると血液が濃くなり、立ち上がったときに血圧が急に下がって脳への血流が低下し(谷型ヒートショック)、意識を失って転倒する危険もあります。

ヒートショックを予防する入浴法

入浴前に脱衣所と浴室を暖める

ヒートショックを防ぐもっとも確実な方法は、入浴環境の温度差をなくすことです。冬の住宅は暖房が効く部屋とそうでない部屋の差が大きく、温度差が10℃以上になることもあります。入浴前に脱衣所と浴室を暖め、温度差を少なくしましょう。

脱衣所に小型の電気ヒーターやパネルヒーターを置いておき、入浴前から暖めると効果的です。
浴室暖房乾燥機があれば、入浴前にボタン一つで浴室全体を暖かくすることができます。

浴室暖房がない場合は、お湯を張るときに浴槽のフタを開けておき、湯気で浴室全体を温めましょう。
シャワーのお湯を高い位置から数分間出し続け、蒸気で壁や床を温める方法も有効です。

入浴前後の水分補給

入浴中は汗をかき、体から水分が失われます。水分が減ると血液の粘度が高まり、脳への血流が不足しやすくなります。これが「谷型ヒートショック」の原因となる脱水症状で、立ちくらみや意識障害を引き起こしやすくなるのです。
入浴前にコップ1杯程度の水を飲み、お風呂から上がった後も水分を補給しましょう。

最適な湯温と入浴時間の目安

季節にもよりますが、お湯の温度は41℃程度を目安にしましょう。熱すぎるお湯は血圧を急激に下げたり、体に大きな負担をかけたりします。いきなり熱いお湯に入らず、手足から徐々に体の中心へとお湯をかけて、急な温度変化に体を慣らしましょう。

また、長すぎる入浴は脱水症状や意識障害につながるリスクを高めます。湯船に浸かる時間は10~15分以内にとどめましょう。
特に降圧剤(血圧を下げる薬)を飲んでいる方は、湯温をぬるめ(40℃程度)にし、長風呂は避けることが大切です。

食後と飲酒後は入浴を避ける

食後は消化のために胃腸に血液が集まり、一時的に血圧が下がりやすくなります。この状態で熱いお湯に浸かると、血圧が急激に下がりすぎて失神するリスクがあります。とくに高血圧の方や高齢の方は、食後に血圧が下がりやすいため、食後は少なくとも30分〜1時間あけましょう。

アルコールには血管を広げ、血圧を下げる作用があります。飲酒後すぐ入浴すると、温熱作用が重なり、血圧が急激に下がりすぎて意識を失う可能性もあるため、飲み過ぎてしまった日は入浴を控えるのが安全です。

ちなみに海水浴場での成人の溺水者の多くが飲酒していたとされています。アルコールで判断力が低下し、神経機能の低下が起こったり、循環器系への負荷が高まったりするためです。入浴したい場合は、アルコールが抜けて血圧が落ち着くまで最低2時間以上おき、入浴前後にしっかり水分補給をしましょう。

もしものときに命を救うヒートショック対策

予防を徹底しても、体調が急変してしまうリスクはゼロにはなりません。熱い湯船から立ち上がって出るときに起こる「谷型ヒートショック」は、脱水状態の若い人にも起こり得るので注意が必要です。万が一のときのための対策も知っておきましょう。

湯船で意識がボーッとしたときに立ちくらみを防ぐコツ

湯船に浸かっている最中に意識がボーッとしたり、頭がクラクラしたりしたら、まずは「栓を抜く」ことを覚えておいてください。意識を失ってしまったとしても短時間で回復するケースも多いため、溺水を防ぐことを優先しましょう。

湯船で温められて拡張した血管から水圧の圧迫がなくなり、さらに重力で血液が下半身に集まるため、脳への血流が減って血圧が急激に下がります。浴槽から出るときは手すりなどにつかまり、時間をかけてゆっくりと立ち上がるようにしましょう。

① つかまって数秒待つ:まずは湯船のふちや手すりにつかまり、体を起こして数秒間じっと待ちましょう。血液が巡り始める時間を確保し、血圧の急降下を防ぎます。

② 頭を低くする:湯船から出る際、軽くおじぎをするよう前かがみになることで、脳への血流を一時的に保てます。

③ ゆっくり立ち上がる:ゆっくりと時間をかけて立ち上がり、浴槽から出ます。いったん湯船のふちに腰かけて、ひと呼吸おいてから立ち上がるのも有効です。

同居している人がいる場合は、意識がはっきりしているうちに大声で助けを求める。または給湯器の呼び出しボタンを活用しましょう。

入浴中に家族が倒れていたときの対処法

入浴中にご家族が倒れているのを発見したら、落ち着いて次の手順で対処しましょう。


湯船に顔が沈んでいたら、顔が水面から出るように支え、すぐに湯船の栓を抜いてください。溺水を防ぐことが最優先です。
②大声で助けを呼び、人を集め、入浴者を浴槽から出せるようであれば救出する。
③両肩をたたきながら声を掛け、反応があるか確認する。反応がない場合は呼吸を確認する。
 意識がない、または呼吸が止まっている場合は、直ちに救急車を要請する(119番)。
④通報後、指示に従って処置を行います。
 呼吸がない場合には胸骨圧迫を開始し、救急車の到着まで続ける。
 人工呼吸ができるようであれば、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を繰り返す。

応急手当の知識と技術。いざというときに備えて身につけておきましょう(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/article/200801/entry-8286.html
浴槽から引き上げられた場合は、体を拭いて毛布などで体を温め、意識が回復してもしばらくは安静にして様子を見てください。

高齢者や持病のある家族の見守り方

ヒートショックによる事故は、発見が遅れると命に関わります。同居者がいる場合は、入浴前の「声掛け」の習慣を持つことで、万が一の際の早期発見につながります。実際にお風呂で意識を失って救急車で運ばれた親戚がいますが、毎回家族に助けられていました。

「お風呂に入ってくるね」などと声をかけてもらい、10~15分を目安に時間を計ります。長すぎるときや浴室で大きな物音がした際は、すぐに安否を確認しましょう。濡れても滑りにくい床材にしたり、浴槽内に手すりを設置したりすることも、転倒予防につながります。

【まとめ】ヒートショック対策について解説しました

ヒートショックは室温の温度差を減らし、入浴の時間や湯温を守ることで予防できます。また、寝不足のときは自律神経の働きが鈍くなり、血圧が上下しやすく、ふらつきが起きやすくなります。入浴前後にしっかりと水分を摂取し、食後すぐや飲酒後、脱水のとき、体調が悪いときは無理して入浴しないようにしましょう。

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参考文献

水死・溺死の原因(日本スポーツ振興センター)https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/anzen_school/suiei2018/suiei2018_7.pdf

高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―(消費者庁)https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20241219

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