運動不足で「運動したいけど、何をしたら良い?」と悩んでいませんか?
残念ながらやみくもに運動してけがをされる方もいらっしゃいます。
そうならないためにご自身の特性を知っていただくための記事です。
この記事で紹介する関節弛緩性テストを行っていただくと
「関節がゆるいタイプなのかどうか?」がわかり、
ゆるい場合は「何に気を付けたら良いか?」がわかります。
テストは1分でできますので、ぜひチェックしてみてください。
目次
「カラダを柔らかくしたい」
「開脚できるようになりたい」
「前屈できるようになりたい」
柔らかくしたい場合はヨガやストレッチを行えば良いですか?
この問いに対して私はYESとは言えません。
個人の体の特性に合わせて行うマンツーマンレッスンなら良いですが、
関節がゆるい方にはヨガやストレッチよりも
ピラティスのようなエクササイズを優先して行っています。
ピラティスが難しい方には、まず可動域を上げることをしていきますが、
ストレッチだけで終わることはほぼありません。
ヨガやストレッチがフィットネスとして広まったのは良い面もありますが、
それによるケガが増えているのも事実です。
そもそもヨガ=ヨガポーズではなく、精神修行や瞑想のためのもので、
師匠と弟子という師弟関係で伝えられていたもの。
あとで紹介する反張膝については、月経周期によって
弛緩性が変化するという報告もあるほど。
ヨガが悪いのではなく、その日のあなたに合わないポーズで
ケガをするという可能性もあるのです。
ヨガやストレッチの危険性
昔はスポーツの前にも静的ストレッチが推奨されていましたが、
現在は動的ストレッチが推奨されています。
なぜなら自律神経の観点からいってもケガのリスクが高まるから。
柔らかくしたいと思われる方は「健康になりたい」
「しなやかなカラダになりたい」という意識の高い方が多いので、
「柔らかければ柔らかい方が良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
では、ヨガのポーズがとれたら健康になれるのか?というとそうではありませんよね。
特に同調性の高い、がんばり屋さんの日本人女性が
グループレッスンでヨガを受けるとケガをする危険性もあります。
もちろん筋肉や血管は柔らかい方が良いですが、
関節がゆるい方は身体の使い方に注意が必要です。
「身体が柔らかい」と「関節がゆるい」とではその意味は全く異なります。
関節がゆるいとは?
「関節がゆるい」とは関節が伸び過ぎてしまい(過伸展)、
それを制御するための十分な筋力がない状態で、
関節弛緩性(英語ではJoint laxity)と言います。
生まれつきの体質でゆるい場合、肩が亜脱臼しやすい方、
臼蓋形成不全(変形性股関節症の原因の一つ)の方もいらっしゃいますが、
捻挫、脱臼、靭帯損傷など外傷によってゆるくなってしまう場合もあります。
柔軟体操で無理やり関節の可動域を広げているスポーツもありますが、
生まれつき関節がゆるい方は、バレエやダンス、フィギュアスケート、
新体操やシンクロナイズドスイミング、水泳やボールを投げたりするのも
得意だったりするので、一般人より鍛えている運動選手でも多いです。
一つのスポーツをくり返し行なうことにより、野球肘・ジャンパー膝・テニス肘などの
スポーツ障害も発生しやすく、靭帯 が切れたり、伸びきって関節が不安定になることもあります。
筋力の発育が不十分な子どもや若い女性は、捻挫などのケガにも注意が必要です。
生まれつき関節がゆるい人の特徴として
・指の過伸展(反りやすい)
・足の過背屈(足首がやわらかすぎる)
・親指の過剰掌側外転(下にある関節弛緩性テスト1)
・膝の過伸展(反張膝とも言う)
・肘の過伸展(反張肘とも言う)
などがあります。
関節がもともとゆるいとヨガのポーズが楽にとりやすく、
一見向いていると思いがちですが、関節のゆるみが強い方は
その分筋肉や関節を痛めたり、ゆがみが強くなる可能性も高くなります。
関節の弛緩性をチェックするための簡単なテストがあります。
(筋肉の柔軟性のテストとは異なります)
1人でもできる簡単なテストなので是非やってみてください。
関節弛緩性テスト
まずはご自身の身体の特性を知ることから始めてみましょう。
以下の項目にそれぞれ当てはまるかどうか、チェックして点数を合計してみましょう。
6と7はそれが「できた」場合は1点。
それ以外の項目は、
「片側が当てはまった(できた)」場合は0.5点、
「両側が当てはまった」場合は1点として計算します。
1.手首 親指が前腕掌(てのひら)側につく
これは完璧についていません
2.肘が反る (反張肘:はんちょうちゅう)肘過伸展15°以上である
3.肩関節 背中の後ろで指が組める
ヨガのゴムカーサナですね
右利きの方は右手が下の方が固い方が多いです
必ず左右チェックしましょう!
4.膝が反る(反張膝:はんちょうしつ)膝過伸展10°以上である
床に膝を伸ばして座った時にかかとが楽に上がる場合はゆるいことになります
5.足首 膝を曲げて足関節が45°以上背屈できる
背屈とはつま先を膝下の骨に近づける動きです。
6.立った姿勢から膝を曲げずに前屈して両掌が全て床につく
ヨガのウッターナサナですね
上の写真ではベッタリついていないので0点となります
7.股関節立位股関節外旋で両脚のなす角が180°以上ある=足を一直線に開いたまま立つことができる
私はできていません。
7点満点で、点数が高いほど関節がゆるいことになります。
3~4点以上の方は全身関節弛緩の可能性がありますが、
0点や1点だったという方は柔軟性を高めるストレッチやヨガがけがの予防になるかもしれません。
どこか一部分が固すぎたり、柔らかすぎてもケガに繋がりやすくなります。
どんなトレーニングやスポーツ(同じ競技でもポジション)が
ご自身に向いているかを知る手助けにもなりますね。
ではこれからの運動や日常生活に役立てるポイントをお伝えします。
関節がゆるい方が気をつけたいこと
身体の使い方を変えるだけで3、4、6、7はできるようになる方もいらっしゃいます。
一例として・・・
私は幼稚園の時にバレエの授業があって、長座体前屈マイナスでした。
小学生の時も上体反らしは得意でしたが、前屈が苦手だったことを今でも覚えています。
中学生の部活で毎日ストレッチをしていたおかげで体前屈はプラスになりました。
けれども前屈や開脚ができるようになることが体の痛みの軽減につながるかというと
そうではないし、健康であることとも関係ありません。
骨の配列は骨盤の高さ、脚長差、O 脚・X 脚、膝蓋骨の位置、
脛骨のねじれ、扁平足など足のタイプなど
チェックするべきポイントはいくつもありますが、
今回の関節弛緩性テストで私が最も注意すべきと考えるのは5、膝の反りです。
山を下山する時などに足が滑ったりして反る方向にいくとかなりヒヤッとします。
ヨガではトリコナーサナ(三角のポーズ)、
パールシュヴォッタナーサナ(側面を強く伸ばすポーズ)で
膝を伸ばしすぎないように気を付けることですね!
分からない方はインストラクターさんやトレーナーさんに相談してみてください。
ヨガやピラティスなどで四つ這いポーズやプランクポーズ、
エクササイズを行う場合は2、肘の過伸展も要注意です。
長年の癖を変えるのは時間がかかりますが、
関節が安定した状態で体を使う癖をつけていくことで、
けがを防ぐだけでなく、脚のラインがきれいになり、自然に全身が引き締まります。
私はピラティスを続けているうちに腰痛が改善し、10㎏減量しました。
ヨガよりもピラティスをおすすめする理由
では関節が緩い方は何をすれば良いのでしょう?
筋トレをして太くするというよりは、まず関節を安定させる筋肉を使えるようにすることです。
私の場合、バドミントンで右肩を酷使しました。大きなけがをしたことはありませんが、
投球動作を繰り返したせいか、右肩にストレスが加わり、靭帯や筋肉が引き伸ばされ、
もともとの関節包のゆるみが増幅され、左肩よりも右肩が不安定になっています。
日常生活に問題はありませんが、この状態が続くと、違和感、痛み、亜脱臼などが起きます。
特に野球選手は投球に負けない肩を作るため肩甲骨周囲のインナーマッスルエクササイズが必要になります。
もう一つの例ですが、私は成長期が遅くて大学生の時も伸びていました。
まだ身長が伸びきっていない高校生の時にマシンで筋トレをしていました。
この筋トレ(レッグエクステンション)は筋肉をただ太くしたいボディビルダー、
手術後に急激に筋肉が落ちてしまった高齢者には良いかもしれませんが、
関節のゆるい方が最大伸展した場合、最悪です。
今だからこそ分かりますが、歩き方にもこの癖がついてしまっていました。
筋トレも関節保護の目的で有効ですが、筋トレの仕方はとても大切です。
ハムストリングスとの筋バランスも大切です。
「そもそもこんなトレーニングしないし!!」
という方は普段の立ち方はいかがですか?
立っている時に膝を伸ばし切っていませんか?
反り腰の方は膝を伸ばし切る方向に力が働きやすく、
連動して腰がより反ってしまうという悪循環にもなりかねません。
(ヒールを履かれている方も要注意です)
このような状態が続くと脚の張りやむくみ、膝痛、腰痛、
猫背などの姿勢から首や肩こり、さらには股関節や膝が変形する可能性もあります。
ヨガやストレッチで身体を柔らかくするのも良いです。
血管が柔らかいことはカラダが柔らかいことにも繋がりますので。
ただ、何を目的に行うのか?ご自身の目的に合っているのか?
振り返っていただけたらと思います。
もし12年もつ車があっても、乱暴に乗っていたら5年で廃車になるかもしれません。
あなたは今の車にあと何年乗りたいですか?
故障してレッカー車で運ばれたいでしょうか?
止まったままガソリンを入れてふかしたい人はいないと思います。
12年を120年として考えてみてください。
50歳で亡くなるなら良いかもしれませんが(?)
体は亡くなるまで無休で、しかも無給でずっとあなたのために働いてくれます。
この世にたった一つしかないご自身の身体に感謝して、大切に使ってあげたいものですね。
関節がゆるい方はヨガやストレッチをやみくもに行う前に、
ピラティスでカラダの使い方を学んでみてください→ピラティスとは?
肩こり、腰痛、膝痛にならないカラダの使い方を学ぶことは、一生モノの財産になりますよ!
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