夜中トイレに起きてしまう原因と対策3選

「夜間頻尿は歳のせい」と諦めていませんか? とくに疾患がない場合は睡眠などの生活習慣を見直すことで改善できます。まずは夜間頻尿の原因を知り、それに合わせた対策をとっていきましょう。

夜間頻尿とは?

トイレが近い状態を「頻尿」夜寝た後にトイレのために起きなければならず、日常生活に支障をきたしている状態を「夜間頻尿」といいます。夜中にトイレに起きるとその後眠れなくなったり、睡眠の質が低下することで日中眠くなったり、イライラしやすくなったり、疲れが取れにくくなることも。

「70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まる」「夜間に3回以上、トイレに起きる人は、2回以下の人の2倍も死亡率が高い」という報告もあります。

寝ぼけたままトイレに行くため、転倒による骨折などがきっかけで寝たきりになる恐れも……。夜間頻尿は生活の質に大きな影響を及ぼすだけでなく、重い病気が潜んでいる可能性もあるため、放置しないようにしましょう。

夜間頻尿の原因【腎虚(じんきょ)】

東洋医学でいう「腎」の機能が低下した状態(腎虚)は、夜間頻尿の原因の一つで、次のような症状があらわれやすくなります。

・多尿、頻尿などの排尿、排便異常
・腰痛や下半身の筋力低下、冷え
・思考力の低下や物忘れ
・耳鳴りや聴力低下
・生殖能力の低下
・歯や骨の異常
・白髪、脱毛

「腎」機能は一般的に40代頃から低下していきますが、個人差があり、生活習慣や食べ物などで腎を酷使して弱くしている人もいます。「歳だから仕方ない」のではなく、生活習慣で改善する可能性は大いにあるのです。そこで重要なのが、睡眠です。

夜間頻尿と睡眠障害

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠の質を低下させるだけでなく、夜間頻尿の原因となることもあります。「睡眠時無呼吸」とは、睡眠中に呼吸が10秒以上止まる状態で血圧や心拍数が上昇し、交感神経が働くことで膀胱が収縮して、尿意を感じやすくなってしまうのです。

また、尿をためられる量が少ないということは膀胱が硬くなっている、つまり全身の血管も硬くなっているということ(動脈硬化)。睡眠時無呼吸が脳梗塞や心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスク上昇につながるのもうなずけます。

睡眠障害は夜間頻尿を引き起こしやすく、さらに眠りが浅くなる悪循環に陥りやすいため、早めにケアしてきましょう。

夜間頻尿対策3選

夜間頻尿を改善するセルフケアを3つご紹介します。

①水分摂取と食事を見直す
②睡眠環境を整える
③足のツボを刺激する

どれも睡眠の質を高めることにつながりますので、ぜひ実践してみてください。

①水分摂取と食事を見直す

寝る前に水分を摂りすぎて夜間頻尿になるケースも少なくありません。水分は一気に摂っても吸収されないため、こまめに補給しましょう。

夕方以降、気をつけたいのは次のようなカフェイン、アルコール、カリウムの多い飲みものです。
コーヒー、紅茶、緑茶(とくに玉露)、エナジードリンク、牛乳、豆乳、ココア、果物ジュース、ビール、赤ワインなど

いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因の一つに、肥満やアルコール摂取などで気道がせまくなることがあります。アルコール飲料は寝つきがよくなるように感じますが、睡眠の質を低下させ体内の炎症が増え、ますますやせにくくなってしまうのです。

また、睡眠中の歯ぎしりが多い人は、食物繊維の摂取量が少ないことがわかっています。高脂肪な食事は睡眠時無呼吸とも関わりが強いと報告されています。食物繊維の少ない高脂肪食を控えることで睡眠の質が高まり、やせやすくなるのです。

②睡眠環境を整える

睡眠中は目を閉じていても、まぶたのうえから光を感知してしまうため真っ暗が理想です。夜中にトイレに起きる方は、センサーモードのある照明で足元を照らしてくれるものをオススメします。

寒さによる冷えは頻尿に大きく影響します。寝室の温度や湿度にも気を配り、湯たんぽなどを活用して冷えすぎないようにしましょう。寝る1~2時間前までに40度前後の湯船に10~20分浸かると筋肉がほぐれて心身がリラックスし、快眠につながります。

③足のツボを刺激する

眠れないときは、気持ちを落ち着かせてゆっくりツボを刺激してみましょう。高血圧や冷え性、むくみ、生理痛、不眠、のぼせなど自律神経の不調改善も期待できます。

足のむくみや冷えのある方は、ぜひ一緒におこなってみてください↓


ツボ刺激が面倒な方は歩きましょう。歩くことが足のツボ刺激になるからです。日中の活動量が低下すると体が必要とする睡眠の量が減る、つまり体が疲れていないと睡眠は浅くなります。ウォーキングやストレッチのような軽い運動でも睡眠の質が改善し、夜間頻尿の改善につながるため、ぜひ実践してみてください。

セルフケアで改善しない場合

1日の尿量は約1000~2000mlで、1回の排尿量は約200~400ml。
日中の排尿回数は5~7回程度、夜間(就寝中)は0~1回程度が目安といわれています。

まずは、排尿のタイミングや量、回数などを記録して客観視してみてください。寝る前に水分やアルコールを摂りすぎた日に夜中にトイレに行きたくなる方や、夜中にトイレで1回起きても熟睡できて生活に支障がない方はそれほど心配しなくてもよいでしょう。

しかし「何をやってもよくならない」方は、精神的ストレスによる自律神経の不調が原因の場合も少なくありません。糖尿病や高血圧、心疾患、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群、前立腺肥大、がんなどが影響している場合もあるため、異常がある場合は医療機関を受診してください。

また、利尿剤などの薬で頻尿になっている方もいらっしゃいます。1日の尿が3,000ml以上など「尿量の増加」「激しいのどの渇き」「飲水の増加」のような症状がある場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

女性の頻尿や尿もれ対策についてはこちらも参考になさってみてください。

まとめ

夜間頻尿は筋力低下や睡眠障害、ストレスによる自律神経系の不調も原因となります。糖尿病や高血圧、心疾患、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群、がんなどが原因となる場合もありますが、これらも水分摂取や食事、運動、睡眠など生活習慣が影響するのです。薬に頼らず改善したい方は、早めに対策をとりましょう!

尿もれや頻尿、夜間頻尿も改善するレッスンの詳細はこちら
睡眠を改善したい方はこちらも参考になさってみてください。

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加藤 小百合

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