女性の頻尿・尿もれ対策

「頻尿」や「尿もれ」は40代以降の女性に多いお悩みです。膀胱炎や糖尿病、高血圧、心疾患、腎機能障害など、とくに疾患がない場合は生活習慣を見直すことで解消できます。医学的に有効とされている膀胱トレーニングも紹介します。まずは頻尿の原因を知り、それに合わせた対策をとっていきましょう。

頻尿とは?

朝起きてから寝るまでの排尿は5~7回程度が目安で、一般的には日中8回以上トイレに行くことで困っている状態を「頻尿」とされています。睡眠時間7時間として起きている時間17時間とした場合、2時間に1回でも多い計算となります。

作業や仕事に集中できなかったり、外出中も常にトイレを気にしたり、映画や旅行も楽しめなくなってしまった、という方も少なくありません。尿もれを心配して予防のためにこまめにトイレに行くことで、頻尿になってしまうこともあるため、その対策もご紹介します。

女性に多い頻尿タイプと原因

頻尿の原因はさまざまで、脳血管疾患や手術などによる神経障害が原因となることもあります。
それ以外の場合、女性に多い頻尿の主なタイプは以下の4つです。

①水分を多く摂っていないのに尿量が増えて起きる頻尿
②残尿感や痛みをともなう急な頻尿
③緊張するとトイレに行きたくなる頻尿
④妊娠、出産、更年期以降で尿もれをともなう頻尿

重大な疾患が潜んでいる可能性もあるため、まずは原因を知り、適切な対策をとっていきましょう。

①水分を多く摂っていないのに尿量が増えて起きる頻尿

「水分を多く摂っていないのに尿の量が増えた」場合は要注意です。糖尿病になると血液中の糖の濃度を下げるために細胞の水分が血液に取り込まれ、その結果、血液量が増えて通常より尿量が多くなり、体の水分が不足します。

のどが渇いて水分をたくさんとることで尿量が増え、頻尿もひどくなる悪循環に……。また、1日の尿が3,000ml以上など「尿量の増加」「激しいのどの渇き」「飲水の増加」のような症状は利尿剤などの医薬品により引き起こされる場合も少なくありません

症状が持続する場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。漢方薬も今の状態や体質に合っていないと、副作用を生じるため注意しましょう。

②残尿感や痛みをともなう急な頻尿

頻尿以外に「排尿の終わりに痛む」「残尿感がある」「尿が濁る」などの症状がある場合は膀胱炎の可能性があります。女性の尿道の長さは約3~5cm程度と短いことから、尿道口から細菌が入りやすく免疫力が低下すると膀胱炎になりやすいのです。

発熱や血尿、失禁、わき腹や腰、背中の痛みもある場合は、腎盂腎炎や膀胱結石、尿管結石などの可能性もあるため、医療機関を受診してください。

③緊張すると急にトイレに行きたくなる頻尿

緊張したときに「強い尿意(尿意切迫感)がきて、トイレまで間に合わず我慢できなかった」という尿もれ(切迫性尿失禁)を経験したことはありませんか? リラックスしているときや夜間はトイレが気にならない場合、心理的ストレスが原因かもしれません(心因性頻尿)。

緊張すると交感神経の働きで膀胱が過度に収縮し、少量の尿しかたまっていなくても尿意を感じるようになってしまうのです。

自分自身では気づかないストレスが引き金となっている方も多くみられます。排尿のタイミングや回数などを記録して客観視し、不安や緊張などのストレスに気づいたら、深呼吸などで緊張を緩和させるのも有効です。

④妊娠、出産、更年期以降で尿もれをともなう頻尿

妊娠後期に赤ちゃんが降りてきたり、子宮筋腫が臓器を圧迫したりして、膀胱の尿をためるスペースが少なくなり頻尿になる場合があります。また、出産や運動不足によって内臓を支える骨盤底筋群の機能が低下し、子宮や膀胱などの臓器が出てしまう「骨盤臓器脱」も頻尿や尿もれを引き起こします。

運動習慣は尿トラブルの改善に役立つことが医学的にも実証されており、ご高齢の方でも効果を実感していただいています。
関連記事:腰痛・尿もれ・頻尿予防のための「体幹トレーニング」では、簡単なエクササイズ動画も紹介しているので参考になさってみてください。
https://tai-kan.com/taikan-training/

女性の頻尿対策3選

自宅で簡単にできる頻尿対策を3つ紹介します。

①水分摂取を見直す
②体を温める
③膀胱トレーニング

即効性はなくても続けることが大切です。ぜひ実践してみてください。

①水分摂取を見直す

尿もれや頻尿を気にして水分摂取を減らしすぎていませんか? もしくは「水分をたくさん摂ると痩せる・美容によい」といった情報に惑わされて水分を摂りすぎていませんか?

水分を極端に減らすと膀胱炎などの尿路感染症や、熱中症、脱水症状、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすため危険です。朝一以外で濃い色の尿が出たら、水分が足りていない可能性があります。水分は一気に摂るとうまく吸収されないため、こまめに補給してください。

また、コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなど利尿作用のあるカフェイン飲料や、カリウムの多い玉露や牛乳、豆乳、ココア、果物ジュースも頻尿の原因となるため、飲みすぎに注意しましょう。

②体を冷やさない

寒くなるとトイレが近くなるのは、誰しも感じたことがあるでしょう。体が冷えると自律神経の交感神経が働き、膀胱が縮むためトイレに行く回数が増えるのです。頻尿や尿もれの根底には「冷え」があり、冷えを改善することで排尿トラブルが解消するケースは少なくありません。

冷えているということは、体の代謝能力が落ちて血流が低下している証拠です。湯船に浸かったり、湯たんぽで温めたりしつつ、体の内側から温まるような運動もしていきましょう。

③膀胱トレーニング

尿もれを気にし始めると予防のため、こまめにトイレに行きがちですが、かえって頻尿につながることもあります。そんな方は、トイレに行きたいと思ったときに少しだけ我慢してみましょう。くり返し続けることで徐々に膀胱にためられる尿の量が多くなり、頻尿が改善していきます。

アメリカの研究で「膀胱トレーニングを受けた女性の群は受けなかった群に比べて1日の尿の回数の平均が12回から9回に減少した」と報告されています。「尿意を感じてから5~10分我慢してから排尿する」のが目安です。

まとめ

頻尿とは尿の回数が多く、トイレが近い状態です。妊娠時や出産後、更年期以降の女性は尿もれ(尿失禁)でお困りの方も少なくありません。運動不足による骨盤底筋群の機能低下や、膀胱を司る自律神経系の失調も原因となります。

とくに疾患がない場合は、水分摂取や体の冷えを見直し、膀胱トレーニングや骨盤底筋群の機能を高める運動で改善します。頻尿の原因には糖尿病や高血圧、心疾患、腎機能障害、膀胱炎などが潜んでいる場合もあるため、異常があるときは医療機関を受診しましょう。

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